事例11 被相続人の親が生存しているが、被相続人の妹に相続させたい!
家族関係
被相続人 甲さん
母親 Aさん
妹 Bさん
ある日、AさんとBさんから相談がありました。
「姉が亡くなりました。姉の不動産を含めて、すべての財産を私が相続したいんです。」
Bさんからこのようなお考えを相談員がうかがいました。
もう少しお話しを相談員がうかがうと、次のことがわかりました。
・甲さんの母Aさんがご存命であること
・Aさんは高齢で、甲さんの財産を相続する意思がなく、娘であるBに相続して欲しいと考えていること。
・甲さんの兄弟姉妹は、Bさんだけであること(AさんとBさんの知る限り)
相談員は、Bさんに次のようにアドバイスしました。
「Aお母さんに、家庭裁判所で相続放棄手続きをしていただきましょう。
そうすると、Aさんは、相続人としては存在しないことになり、
甲さんの兄弟姉妹が相続人になります。つまり、Bさんが相続人になります。」
「ただし、注意が必要です。本当に甲さんの兄弟姉妹はBさんだけなのか調べる必要があります。
可能性として、あったことのない戸籍上の兄弟姉妹が存在するかもしれません。
もしそうなら、Aさんが相続放棄すると、見ず知らずの兄弟姉妹が甲さんの相続人になってしまいます。」
「そこで、まずは、戸籍を急いで調べましょう。
そして、Bさんだけが、甲さんの兄弟姉妹であることの確認がとれたら、
甲さんに相続放棄の手続きをしていただきましょう。」
戸籍調査の結果、Bさんだけが甲さんの兄弟姉妹であることの確認がとれました。
そののち、司法書士の協力のもと甲さんに相続放棄の手続きを取っていただき、
無事、甲さんの財産をBさんが引き継ぐことができました。
Aさんとしては、自分が相続するとなると、近い将来また不動産の名義を自分から娘であるBに変更するなど、
各種相続手続きが必要になるので、今回Bさんに甲さんの財産を引き継がせることができて安心だったようです。
もしも、Bさん兄弟姉妹が戸籍上でてきたら、
Aさんが、Bさんに相続分を譲渡する方法でAさんとBさんの希望を実現することもできます。
でも、この方法ですと、甲さんからBさんへの不動産の名義の変更の原因が「相続」ではなく、
「相続分の譲渡」となり、登録免許税が5倍も高くなってしまいます。
また、甲さんからBさんへ不動産の贈与があったことになり、贈与税発生の可能性もでてきます。
AさんBさんにとって、経済的にも有利な方法で手続きを進めることができ、喜んでいただきました。
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