事例9 遺言書をめぐるトラブル
関係者
被相続人
相続人 子2人(兄Aさん、弟Bさん)
被相続人の兄弟姉妹(遺言書によって、遺贈を受けている可能性あり)(妹の1人をCさん)
被相続人の妹の代理人弁護士(以下、C代理人弁護士)
生前の事実
- Bさんは、被相続人と20年以上会っていなかった。
- 生前、被相続人は病床でCさんに対し、次のことを伝えていたらしい。
- 遺言書を書いた旨
- 妹に何百万円(具体的金額は不明)を遺贈する旨
- 被相続人は、大事なものを貸し金庫に保管していた。
相続発生後の事実
- Cさんは、Bさんに遺言書のことで連絡を取ったが、話合いに応じてもらえず、弁護士に話し合いの代理人を依頼した。
- 財産の処分についてかかれたメモ書きのような紙(以下メモ)が発見された。 封に入っていない。そこには、被相続人の兄弟3名に対し、財産を遺贈する旨、およびその額の記載があった。 なお、この紙の存在をしっているのはAさんとBさんで、cさんは知らない。
- Bさん、Cさん、C代理人弁護士は、封をされた遺言書が貸し金庫に入っているに違いないと信じていた。
Bさんの意向
貸金庫に遺言書があり、それが本物であるのであれば、そこに書かれている通りにする。
つまり、Cさんに相続財産の一部を送金する。
Cさんの意向
きっと貸金庫の中にあるであろう遺言書に書いてあることを、
Bさんが実現してくれるのか不安。遺言書の存在をBさんが明らかにしてくれるのかも不安。
展開
被相続人の妹とその代理人である弁護士が、貸金庫を空ける場に同席しに来られた。
貸金庫から、遺言書は出てこなかった。
あると思っていたので、なかった場合のことを想定しておらず、
メモの扱いに、Bさんは困った。Bさんは、メモについて、その場ではCさんに伝えなかった。
Bさんは、念のため裁判所の検認を受けその結果をCさんに伝えることにした。
その日の夜、遺言書とかかれたメモの存在を明らかにした方がよいとBさんは思い直し、
C代理人弁護士にメモ書きを見せた。
そして、検認するまでもなく、Bさんはメモのかかれた額をCさんに送金すると約束した。
BさんにCさんともめるつもりは毛頭なく、早くスムーズに手続を進めたいいのでした。
後日、弁護士から連絡があった。
「被相続人の妹の夫が、『遺言隠匿した』と騒いでいます。」
弁護士がCさんに、Bさんの意向を伝え、CさんもBさんに悪意はないことを理解した。
Bさんは、メモにかかれた額を送金しこの件は解決した。
教訓
遺言書は法的にきちんと効力がある形で保管することがこのましい。
遺言書があっても、その保管状況、生前の遺言の内容の公開状況によっては、死去後にトラブルが発生する。
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