遺留分
民法では遺言自由の原則があり、被相続人は自己の財産を遺言によって
自由に処分できるというのが建前ですが、一方では推定相続人の相続期待利益を保護し、
また、被相続人死亡後の遺族の生活の保障を図ることも必要であり、相続財産の一定部分を、
一定範囲の相続人に留保させるという「遺留分」の制度が設けられています。
遺留分権者と減殺請求
法定相続人のうち、兄弟姉妹以外の者を「遺留分権者」といいます。
遺留分については、遺留分権者が減殺の請求を行うことにより認められるものであり、
必ず(i)相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った日から1年以内、
かつ、相続開始の日から10年以内に、(ii)家庭裁判所に対し遺留分の減殺請求をしなくてはなりません。
遺留分の放棄
被相続人が遺言どおりに自己の財産を処分したいときには、
遺留分権者に「遺留分の放棄」をしてもらうことが必要です。]
この遺留分の放棄は、相続開始前でも認められます。この点は相続の放棄とは異なります。
ただし、相続開始前の遺留分の放棄は、
家庭裁判所の許可を受ける必要があります(民法1043、家事審判規則99)。
また、遺留分の放棄をした者が相続開始前に死亡して代襲相続が超こった場合には、
この放棄の効果は代襲者にも及び遺留分の減殺請求をすることはできません。
遺留分の減殺請求<1年以内>
民法では、法定相続人が必ず相続することができるとされている最低限の相続分(=遺留分)が保証されています。
万一、遺言によって遺留分未満の財産しかもらえなかったときには、
遺留分を侵した相手に対して1年以内に「遺留分の減殺(げんさい)請求」を行うことで、これを取り戻すことができます。
※遺留分の割合
通常の場合・・・遺留分は被相続人の財産の1/2
相続人が直系尊属のみの場合・・・遺留分は被相続人の財産の1/3
尚、兄弟姉妹には遺留分はありませんのでご注意下さい。
「遺留分の放棄」の方法
遺留分の放棄をするためには、家庭裁判所に「遺留分放棄の許可の審判」を請求し、
家庭裁判所の許可が必要になります。
自営業者などの場合、相続で遺産を分割されては困るため、
遺産を長男など後継者に集中させておく必要があります。
しかし、相続が開始する前の相続放棄は認められませんから、
長男以外の相続人に生前にある程度の贈与をして、その代わり遺留分をあらかじめ放棄させたうえで、
遺言を残すのです。
「遺留分減殺請求」の方法
なお、遺言は遺留分を侵害する場合も、遺言としては有効です。
ただし、遺留分権利者から遺留分減殺請求された場合は、返還しなければなりません。
この遺留分減殺請求権ですが、相続の開始および減殺すべき遺贈があったことを
知ってから1年間を経過すると、時効によって消滅します。
また、知らなくても相続開始から10年間を経過しても時効になります。
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